統一地方選にどう望むのか下角県委員長に聞く

 来年4月の統一地方選挙にどう臨むのか。日本共産党の下角力・和歌山県委員長に聞きました。
 ―岸田内閣の支持率は急落。参院選後の激動の情勢は、和歌山ではどのようにあらわれていますか。
 安倍氏「国葬」問題では、九度山町議会が「安倍元首相の国葬中止を求める意見書」を賛成多数で可決しました。「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」がJR和歌山駅前で緊急宣伝を、「戦争する国づくりストップ!田辺西牟婁住民の会」が「安倍元首相の国葬に反対する田辺西牟婁住民のつどい」をJR紀伊田辺駅前で実施するなど県民から多くの反対の声があがりました。統一協会問題では、日本共産党は各地方議会で追及し、和歌山市の尾花正啓市長は「行政の長として関わりを持たないように対応すべき団体」と明言。関連団体が実施した「ピースロード」の一行が和歌山市役所を訪問したのは長坂たかし県議の紹介であったことが、和歌山市の公式文書であきらかになりました。コロナ感染症では、1994年の保険所法の全面改悪で始まった保健所削減に対し県議会で当時の日本共産党の村岡キミ子県議が論陣を張り、地域や保健師のみなさんの奮闘で県内保健所が維持されたことがその後の対策に貢献しました。日本共産党県議団は検査の抜本的拡大、入院、発熱外来など医療体制の充実を繰り返し求め、当初は検査拡大を否定していた県も病院でのPCR検査の拡充や抗原キットの配布などに踏み出しました。
 ―県知事選挙(11月10日告示、27日投票)をめぐる情勢や、仁坂県政をどう評価しますか。
 国民民主党を離党し知事選に立候補を表明した岸本周平元衆院議員は、紆余曲折はありましたが自民党も推薦を決め、自民党県政を引き継ぐ候補者として立ち現れています。国会でIR(カジノ)整備法に反対しておきながら、今年5月の立候補会見では「中立の立場だ」と逃げました。
 和歌山カジノをめぐっては、日本共産党県議団が県議会本会議で20回に及ぶ質問し、和歌山市で住民投票条例の制定を求める署名が1カ月で必要数の3倍超の2万39を集めるなど市民のねばり強い運動のもと、県議会では日本共産党以外の全ての政党・会派が賛成・反対で分裂し、反対多数で計画が否決されました。これにより「和歌山IR誘致が最高の県勢振興」とカジノに固執してきた仁坂知事は退陣を余儀なくされました。日本共産党は和歌山県の衰退を招いた自民党県政の転換を実現するため全力をあげます。
 ―来春の統一地方選挙の政治目標は。
 前半戦の県議選挙では、和歌山市(定数15)、西牟婁郡(同2)、御坊市(同1)、紀の川市(同3)の各1議席、計4の現有議席に加え、和歌山市での2議席奪還を目指します。後半戦でも空白議席の克服をはじめ住民の願いを議会に届ける各市町村になくてはならない日本共産党の議席を獲得するため全力あげます。
 ―1人区、2人区でも議席を獲得してきました。教訓と課題は。
 西牟婁郡でも御坊市でも日本共産党の力量だけでは当選に届きません。共通するのは保守の人びととの共同と「困っている人は放っておけやん」という日本共産党の原点に立った生活相談など共同を実現する候補者の努力と魅力です。西牟婁郡では高田由一県議が、日本共産党そのものを知ってもらうことなしに当選はないと始めた「つどい」をコロナ禍で開催の困難となったなかでも家族単位・庭先の集いなど工夫を重ねています。自民党の二階俊博衆院議員の地元の御坊市で初当選し激震を走らせた楠本文郎県議も質・量ともに圧倒される相談活動のもと保守の人びとが「共産党だけど楠本さんだから」と力を注いでいます。こうしたなか日本共産党の党勢拡大と、保守・無党派の人々と日本共産党とのつながりを強めることが求められています。
―何を訴えていきますか。
 和歌山カジノの県議会での否決、新型コロナの検査拡大に加え、2011年の紀伊半島大水害でダムの緊急放流が問題になるなか党県議団の論戦は全国に先駆けて利水用ダムの事前放流を改善しました。新型コロナで当初評価された「和歌山方式」も第6波以降、多数の死亡者を出しているのに県は病院ベッドを1000床減らし、さらに2000床減らそうとしています。自公政権の国民の暮らしや社会保障軽視の悪政を受け入れる県政から、中小企業や農林水産業の振興、インバウンド頼みでない地域の観光振興、医療・福祉・子育て支援の充実を進める県政が求められています。
―「特別期間」の手ごたえは。
 地域での資本論学習会を通じて複数の青年が入党しました。教育や医療関係の労働者への働きかけが進んでいます。志位委員長の100周年記念講演は党内に学習の意欲を沸き立たせました。統一地方選挙まで半年となりました。「おりいって作戦」で後援会員やしんぶん赤旗読者、支持者に宣伝物を届けて「支持を広げて」と訴える活動を重視しています。「つどい」や決起集会を開くなど党と後援会、支持者の決起をはかります。

▼人口90万6968人(4月1日現在)有権者数79万6273(7月10日現在)
▼地方議員総定数448(議席占有率9・82%)
▼県議会(定数42)の勢力分野=日本共産党4、自民党27、改新クラブ5、公明党3、無所属の会1、日本維新の会1、欠員1
▼和歌山市議会(定数38)=日本共産党6、自民党9、公明党8、民主クラブ5、和歌山興志クラブ・日本維新の会5、政和クラブ4、欠員1